Part 2

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海くんと買い物を済ませ、音羽家に戻り、母屋のキッチンの冷蔵庫にケーキの材料をしまう。 お酒がびっしり入った袋に手を伸ばそうとしたら、 「俺が持ちますよ」 横から大きな手が、袋の取っ手を掴む。 「ありがとうございます!」 状況に応じて、さり気ない気遣いが出来る人は、好ましい。 音羽家の男子は、そういうのに長けている。 世の中の男子が、皆そうだと思っていたら、全然違ってて…… 何度も幻滅した。 重い荷物を女の子に持たせずに、すすんで持ってくれる。 小さいこと…のように見えて、それが出来ない男子は、結構多い。 海くんは…それが身に付いてる人なんだ。 それは、買い物の時も感じてた。 スーパーのドアを開けてくれて、ドアを押さえたまま、先に私を店内に入るように促してくれたり、精算前にカートからカゴを出してくれたり…買った荷物の、重い方を持ってくれたり…… やろうと思ってやるんじゃなくて、それが当たり前だと思ってるから、自然に身体が動いてる。 勿論、私を気遣ってくれてるのも分かってる。 物腰は凄く柔らかいけど、男の人として、頼れる人だと思った。 母屋の階段を上がろうと、一段目に脚を掛けようとしたら、 「ゆ、ゆゆゆゆゆ柚乃さんっ!」 大きな声で私の名前に、たくさん『ゆ』を付けて呼ぶ。 「どうしました?」 脚を元の位置に戻し、海くんに振り向く。 「…あのっ…す、すみませんっ!」 いきなり謝った海くんが、徐に自分が着ていたパーカーを脱ぎ、 「…えっ!?」 そのパーカーを私の腰に巻き、袖をきゅっと結ぶ。 …な、何で? 意味が分からず、ただただ海くんを見上げていた。 「と、突然…勝手なことして、すみません…でもっ!…その、ですね…す、スカートが…短過ぎて…その…見…えて…しまう…から…」 スカートが短過ぎて…… 見える……? …あ…!? そういうことね…… 真っ赤な顔した海くんが、私の視線から逃れ、横を向く。
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