Part 1

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さっきのお客ふたりも、まあまあイケメンで可愛い感じ…だったけど、イケメンで可愛いの王道は、やっぱりうちの双子に限るっ! 私のひとつ上の双子の兄たち…春翔と紘都は、子供の頃から仲が良くて、小学生低学年の頃は引っ込み思案な紘を、お兄ちゃんの春がぐいぐい引っ張って、守ってた。 だからか、紘の春への信頼感や独占欲は強くて……春が紘以外と仲良くしてると、良く拗ねてた。 双子ならではで、スキンシップも多くて… すぐ傍でそれを見てた私は、兄ふたりがじゃれ付いてるとこに、 「私も混ぜてー!」 と、妹の陽菜が割って入ろうとするのを無理くり止めて、眺めてるのが好きだった。 その頃は、仲良しの双子の兄たちを見るのが純粋に好きなだけで、双子だから、仲が良いのは当然位にしか思ってなくて、何故それを見てるのが好きかなんて、疑問にも思ってなかった。 中学生くらいから、春と紘の身長差が出て来て、父さん似の紘は格好良くなって、女子に人気があった。 母さん似の春は、元々可愛い顔立ちだからか、女子よりも圧倒的に男子に人気があった。 本気で春を狙う男子たちを、牽制したり、蹴散らしたりして守る紘を見て…… きゅうーんと、私の胸が高鳴った。 兄弟愛以上の愛を感じて、高鳴ったんだ。 そこで初めて、私は自分が腐女子なのだと確信した。 春を見つめる紘の優しい眼差し。 紘は気付いてないかもしれないけど、あの頃と今と、変わらない目で、ずっと春を見てたんだよ。 春に、兄以上の気持ちをずっと、抱いていたのに、その気持ちを押し殺して、あろうことか私を好きだと思い込もうとしてた。 男同士で兄弟という枠が、紘の気持ちの歯止めになり、兄妹でも女である私ならと……そう思ったんだろうけど…… 春と私が並ぶと、春と私が双子の兄妹だと、良く勘違いされてた。 私も母さん似だけれど、タレ目で可愛さ全開の春と、ツリ目の私……似てるのは認めるけど、春に重ねられて見られるのは、私のコンプレックスだった。
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