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圭一と美咲はまだ新婚だ。
2人は今夜も新婚生活を楽しんでいた。
「圭一、はやく、ちょうだい」
ほおを上気させた美咲が言った。
「びっちょびちょだな」
圭一は少し遠くから物をいう癖がある。
美咲にはそれがたまらなかった。
「分かってるなら、はやくしてよ。もう限界」
美咲は圭一に求めた。
「仕方がないな」
圭一は手を探るように動かしている。
「あ、ちょっとダメ、いっちゃう! いっちゃうって!」
「早いって、もう少しだから、待ってくれよ!」
「もう無理だよ、抑えられない」
美咲の声が上擦りだす。
「待ってて、今いくよ」
「あー、だめ、もういっちゃった」
「え、まじ?」
圭一が上半身だけ振り返り、視線を下におろす。
そこには体を拭かずにびちょびちょのまま、最近覚えたハイハイをして圭一の元まで辿り着いた、息子がいた。
「ハイハイ、はやくなったな」
圭一は洗濯物の山から手を引き抜き、取り出したタオルを広げる。
「だから、はやくしてって言ったのに。最近力が強くなって来て、無理に抑えちゃうと怪我させちゃいそうで、怖いんだからね」
「悪かったって、でもお前が洗濯物をそのままにしておくから、すぐにタオルが見つからなかったんだよ」
息子の体を拭きながら、圭一は少しだけ反論する。
「はいはーい、ごめんね。次からちゃんと畳みますよー」
美咲は軽く受け流し、部屋着を着て脱衣所から出てくる。
息子の体を拭きながら、圭一はなんとなく、頭の中で先ほどの会話を反芻してふと気がつき、にやりと口角をあげた。
「さっきの会話、捉えようによってはエロかったな」
「え?」
美咲はすぐには思い至らなかったようだが、ちょっと考えて、意味を理解したようだった。
「バッカじゃないの? 男って、そればっかね」
美咲は嘆息する。
「あぁ。男ってそればっかなんだよ。だからこいつも生まれて来たの」
圭一は息子の頭を撫でた。
圭一と美咲は苦笑する。
「そうだね、これからもよろしく、お父さん」
「あぁ、こちらこそよろしくな、お母さん」
夜はふけていく。
今夜も、新婚生活を子育てしながら楽しむ、デキ婚の2人であった。
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