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ギルベルトは、ゲシェンクだった。
ゲシェンク。
それは、贈り物。
地球からの、贈り物。
ゲシェンクの血には、何ものにも勝る治癒力がある。
どのような病も怪我も、一瞬で治してしまう。
だがそれは、生涯で、ただ一人だけ。
その上、ゲシェンク自身も、大きなリスクを負わなければならない。
死ねなくなるのだ。
誰かに血を与え、その命を救ったなら、与えた者は、死ねなくなる。
不死の命を生きることになる。
これはしかし、恩恵ではなかった。
年は取るのだ。怪我も病気も、普通にする。
それでも、死ねない。
苦しんで苦しんで、でも生き続ける。
肉体が消滅しても、魂だけはこの世に残り、苦しみ続ける。
唯一その苦しみから解放してくれるのは、彼が血を分け与え、命を助けた者だけだ。
己が命を救った者だけが、己を殺すことができる。
永劫の苦しみを、終わらせることができる。
生涯で、己の血を以って、ゲシェンクが救える者は、一人。
彼を死なせることができるのは、その者、ただ一人。
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