1 月あかり

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*  子どもは、クラウス・フィツェックと名乗った。  父親に撃たれたのだと言った。  ギルベルトの思った通りだった。  父のことを、恨んではいないようだった。  ただ、混乱していた。  母はいないという。  子どもを連れて逃げるのは、危険だった。  だが、置いていくわけにはいかなかった。  なぜなら、たった今、ギルベルトは、不死の身となったからだ。  己の血をもって、クラウスの命を救ったから。  今後、彼を死なせることができるのは、幼いこの、クラウスだけ。  クラウスに殺してもらわなければ、ギルベルトは、永遠に死ぬことはできない。  戦争の混乱の中、一度離れたら、どこで再会できるか、わかったものではなかった。  ましてや、年端もいかない子どものことである。  もしかしたら、ギルベルトより先に、死んでしまうかもしれない。  そしたら、自分は……。  肉体の衰えとともに、永劫の苦しみを味わうことになる。
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