まあるい風

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そんな二人を助けてくれたのは、道すがらにあった水族館で。 良かった そう思ったのは私だけだと、すぐに気づいた。 カーナビの目的地が、今いる場所を教えてくれたから。 偶然に助けられたと思っていた場所が、目的地だった。 私は、さっきよりも嬉しくて、悲しいは一つもなくなった。 二人でゲートをくぐり、望んでいた青で埋め尽くされる頃には手を繋いでいた。 少しひんやりする そこで、次の青へと進む度に 胸が鳴る。 平気なふりをして繋いだ手が汗ばんでいくのが恥ずかしくて、握る力が不自然じゃないかとか、好きなはずの場所で、好きなものを見ることを忘れた。 手のひらから温度が混ざりあっていくにつれ、だんだんうつ向いてしまう。 「綺麗だね」 って話しかけてくれるのに、どれを指しているのかわからなくて。 そんな時、 「ぅわあーーー!!」 突然、ぎゅうっと手を握る力が強くなって、何がなんだかわからず振り向くと 力いっぱい背を伸ばして、後ろに倒れそうなあなたがいた。 ガラスの向こうに、突然現れたアザラシが、いたずらに彼の視界いっぱいを埋めて消えていく。 「びっくりしたー!」 私は笑った。 言わなくてもわかるよ。 どういう風に驚いたのか、一生懸命話すあなたに、おなかを抱えて笑った。そんな私を見て彼もおなかを抱えて笑う。 涙を滲ませ苦しいという顔。 今日、初めて見たあなたの顔だった。
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