Never ending

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それから夏休みに入ると、波留達4人は一緒にいることが多くなった。 特に遊ぶところがある島でもない。 もっぱら海に行ったり、商店でアイスやかき氷を買って堤防で食べたり。 たまに、学生の本分である勉強をしたり、そんな毎日を送っていた。 「ばーちゃん、翔真いる?」 「ああ、京平ちゃんたちよく来たね。スイカが冷えてるよ」 翔真の祖母にあたる、片桐初江が縁側からニコニコしながら現れた。 「おばあちゃんこんにちは。これ、うちのお母さんがどうぞって」 唯子が両手いっぱいのトウモロコシをニコニコしておばあちゃんに渡していた。 「おお、みんな来たな。上がれよ」 奥の部屋から現れた翔真の声に、 「おじゃましまーす」 とぞろぞろと縁側のすぐ横の広間に上がり込むと、慣れた様子で各々テーブルを囲んだ。 「さあ、今日もちゃっと宿題片付けようぜ」 京平の言葉に、唯子は「あんたの場合主題を写す間違いでしょ?」呆れたように声を上げ、笑いが起きた。 「あー、もうわかんない!」 「どこ?長沢さん」 波留の声に、翔真がノートを覗き込んだ。 「ここの数学の証明。なんで証明しなきゃいけないの?わかっているなら聞かなきゃいいのに」 不貞腐れたように言って、ポイとシャープペンシルを転がすと、翔真はクスクス笑いながら、 「それが勉強だからね」 と当たり前の事を言いながら問題を読むと、 「じゃあ、初めからね。ここが解らないからXとして……」 「片桐君ってさすがっていうか、すごく勉強できるよね。東京と人はみんなこんなに勉強できるの?」 「え?島だから俺たちバカなのか?」 唯子と京平の声に、 「そんな訳ないだろ?俺は努力して勉強してきたんだよ」 ニヤリと笑って言った翔真に、「ですよね」そう言って二人もノートに向かった。 「できた!」 そんなふたりなどお構いなしに、波留は大きな声を出した。 「見せて?ああ、正解。やればできるじゃない。長沢さん!」 「すごい!片桐君の教え方先生より分かり易いよ。本当に」 興奮するようにいった波留に、 「俺たちも教えて!先生!」 そんな声が飛んで、夏休みの勉強会は進んで行った。
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