2人が本棚に入れています
本棚に追加
On a hot summer day
そんな夏は突然終わりを告げた……
波留は病院のベッドにいた。
しかし、体は動かず、意識だけが妙にはっきりしていた事だけは覚えている。
意識はあるのに、体は全く動かない。そして呼吸が苦しい。
「苦しい……」
声に出したくても声になっているのかさえ分からなかった。
口元を覆う何かがうっとおしくて、取りたいのに手が動かない。
(取れない……)
諦めに近い感覚が、頭の中を支配する。諦めてもなお襲い来る恐怖に、ただただなす術がなく横たわっているだけだった。
(誰か助けて)
それだけを望むもそんな助けは一向にやって来ることはなかった。
ベッド脇で聞こえる無機質な機械音がやけに大きく聞こえた。
誰か助けて。苦しいの。息ができない。体が動かない。
恐怖だけが頭の中を占めて行く。
このままが永遠に続くのなら……誰か私の息を止めて。
そんな事を思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!