On a hot summer day

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On a hot summer day

そんな夏は突然終わりを告げた…… 波留は病院のベッドにいた。 しかし、体は動かず、意識だけが妙にはっきりしていた事だけは覚えている。 意識はあるのに、体は全く動かない。そして呼吸が苦しい。 「苦しい……」 声に出したくても声になっているのかさえ分からなかった。 口元を覆う何かがうっとおしくて、取りたいのに手が動かない。 (取れない……) 諦めに近い感覚が、頭の中を支配する。諦めてもなお襲い来る恐怖に、ただただなす術がなく横たわっているだけだった。 (誰か助けて) それだけを望むもそんな助けは一向にやって来ることはなかった。 ベッド脇で聞こえる無機質な機械音がやけに大きく聞こえた。 誰か助けて。苦しいの。息ができない。体が動かない。 恐怖だけが頭の中を占めて行く。 このままが永遠に続くのなら……誰か私の息を止めて。 そんな事を思っていた。
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