On a hot summer day

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その言葉に素直に波留は頷くも、ようやく覚醒できたという感覚と、何かが迫りくるような恐怖を感じて波度の心は眠るのを拒否していた。 「眠りたくない……また動けなくならないかな……」 ぼんやりと呟いた波留の言葉を拾ったのは片桐だった。 「どうした?長沢さん」 「なんかね、ずっと苦しくて苦しくて、こんなに苦しいなら息を止めて欲しいって思ってたの。眠るとまた金縛りみたいにならないかな……」 小さな声で言った波留の言葉に、片桐は一瞬目を見開いた。 「あっ、ごめん。変な事を言って」 波留はそれだけ言って、病院の無機質な窓の外を見ようとして、寝返りを打とうとしたが、腹部が鈍く痛み、点滴のルートが引っ掛かりそれは叶わなかった。 「そうか。じゃあ起きてればいいよ。麻酔が残っていたせいかもしれないし、手術中出血が多くて輸血が間に合わなくて、血液を待ってるって言ったからそのせいじゃないかな。貧血がひどいと辛いと思うし。それにもう目が覚めたから大丈夫だよ」 ニコリとそう言った片桐を見て、 「片桐君、詳しいんだね」 酸素マスク越しに言ってニコリと笑う事ができて、波留も少し安堵した。 「このマスクもなんだか苦しくていやだな……」 「じゃあ、後で鼻からに変えてもらう?」 「鼻?そう。鼻の穴にこうやって」 鼻の穴に入れるような仕草をした片桐を見て、波留は目を丸くすると、     
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