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Never ending
穏やかな時間の流れる島の中の村、「与那加村」。
だいたいの人の顔が一致するような小さな村だ。
皆が家族。そんな風に思えれば楽なのかもしれない。
しかし、裏を返せば〝知って欲しくない事も筒抜け″そう言う場所だ。
長沢 波留 17歳。島に1つだけある高校の2年にこの4月になった。
1学年1クラスしかなく、クラスメイトは25人。みんなずっと一緒に育ったようなものだった。
波留の家は昔からある(由緒正しいと波留の母は言う)家で、どちらかというと窮屈な家だ。
2つ年下の弟がおり、その弟は波留とは違い、勉強もスポーツも良くできた。
その為、母は弟に掛かりきりで、波留には興味も薄かった。
しかし波留にはそれぐらいの母の干渉がちょうどよかった。弟には悪いが。
幸運な事に父は、忙しいがそんな波留にも分け隔てなく愛情を与えてくれていたので、特に道を外すことなくここまで育ったように波留も思っていた。
母はすぐに『島の人の目があるのよ』を呪文のように春にも弟にも言っていた。
それは、母自信が縛られているのかもしれない。
そんな事を波留も思う様になっていた。
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