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「そうだね。お母さんは村の役員もやってるしもちろん忙しいとは思うけど……。きっと面倒を起こしてって怒ってると思う。こないだ見たでしょ？」
「うん……」
無理やり笑った波留に、翔真は、
「無理やり笑わなくていいから。夜眠れなくて辛かったら看護婦さんに言うんだよ？」
「言ったの。そうしたら頑張ったら眠れるって」
その言葉に翔真は?然とした顔を見せた後、小さくため息をついた。
「そっか。でも看護婦さん違う人の場合もあるし、回診の時のドクターにも相談してみた方がいいよ。急に事故にあったんだ。そんなに簡単に気持ちもついて行かないよ。今度は眠れない時用に何か本を持ってくるよ」
「ありがとう。片桐君どういう本読むの？」
「俺はミステリーが好きだよ。犯人を予想しながら読むんだ。片桐さんは？」
「私はね、笑わないでよ。やっぱり恋愛ものが好きかな」
「それは俺は持ってこれないな……柴田さんに頼むよ。俺のおすすめもよんでみて」
少し困ったような翔真の顔を、クスクス笑いながら波留は見ながら穏やかな気持ちになるのを感じた。
「うん、楽しみにしてる」
穏やかな翔真の声に、波留はうとうとしだした。
「う……ん」
「長沢さん？眠たくなった？眠っていいよ……」
「でも……」
「大丈夫。俺はここにいるから。何かあったらすぐに先生呼ぶから安心して」
波留は重くなる瞼をなんとか開けようと試みたが、すぐに意識を手放した。
手術後３日目して自然にやってきた眠りに身を委ねた。
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