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波留は夏休みも半ばに差し掛かろうという所で退院した。
父の迎えに来てくれた車に荷物を載せると、右の後部座席にゆっくり座ると軽く息を吐いた。
今まで特に母親、家族、家そう言ったものを考えてこないように、意識的にしていたが、最近事故のせいなのか、時間が有り余っているからか、そう言ったものを考えてしまう自分がいた。
ゆっくりと走り出し山を越えて、少し走ると懐かしい海が見えてきて波留は幾分ホッとした。
これまで大きな病気もしたことのない波留にとって、入院は少なからずストレスになっていた。
臓器に損傷もなかったことから、入院中からゆっくりと動くこともしていた為、激しく動かなければ日常生活に支障はなかった。
それが家に帰るにあたり、母の手を煩わせなくていいと波留自身一番安堵していた。
弟ばかりを気にかける母に、いつからか遠慮が付きまとい、我儘をいう事もしてこなかった為、万が一何か世話をしてもらうとなると、どういう風に頼んでいいのか分からない。
そんな事を入院中考えていた。
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