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「今日、お母さんは?」
運転する父に声を掛けると、
「仕事と、渚のお迎えじゃないかな」
少し申し訳なさそうに言った父に、要らない事を聞いてしまったような気がした波留は、
「そう」とだけ答えて、また海に目を向けた。
久しぶりの我が家、自分の家に着くとゆっくりとベッドに横たわる。
携帯を見ると、唯子や京平から退院を喜ぶメッセージが入っていた。
簡単に返信をして、次のメッセージに目を向けた。
それは翔真からの物で、
【無事退院できましたか?何かあったらいつでも大丈夫だから連絡して】
その言葉の意味をなんとなく波留自身わかるような、わからないような気もしたが、翔真の優しさに心が少し穏やかになった。
退院の少し前から、波留自身言いようのない、動悸が起こることがあり、夜の眠りも浅くなっていた。
【ありがとう。今家に着いたよ。何かあったらよろしくお願いします】
何もないとはいう事はできず、波留はそれだけメッセージを送ると、ギュっと目を閉じた。
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