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その3日後、本当に転校生はやってきた。
「片桐翔真です。よろしくお願いします」
ざわざわとクラスがざわめく中、そんな空気を気にする様子もなく表情を変えない翔真を興味深く波留は見ていた。
サラッとした髪、くっきりとした二重瞼。ニコリともしない顔。
なぜか「これが都会なんだ」波留はそんな風に思った。
「そんなわけないだろ?」
京平のさもお前は馬鹿なのか?そんな風に聞こえて、波留は口を膨らませた。
「そうなの?」
「都会の人間がみんな笑わないなんてある訳ないだろ?じゃあ、芸能人とかどうするんだよ」
「あっ、そっか。都会の人も笑うよね」
えへへと言いながら言った波留に、京平も唯子もため息をついた。
「おっ、噂をすればよ」
唯子が小声で前を歩く人をこっそりと指さした。
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