prologue

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

prologue

まただ……。 不意にやって来るぞわっとした感覚に、私は「ひゅっ」と小さく声を上げてうずくまった。 (落ち着いて。落ち着いて。大丈夫) その言葉だけを何度も繰り返す。 すぐそばで聞こえていたはずの波の音が聞こえなくなり、自分の心臓の音だけが煩い。 カタカタと震える体をどうしていいのかわからず、ただ自分自身で抱きしめた。 そんな事をしても、何をしても去らないこの恐怖をどうにか自分でコントロールしようと大きく息を吐いた。 「波留、大丈夫だよ」 その声を何度も頭の中で思い出していた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!