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prologue
まただ……。
不意にやって来るぞわっとした感覚に、私は「ひゅっ」と小さく声を上げてうずくまった。
(落ち着いて。落ち着いて。大丈夫)
その言葉だけを何度も繰り返す。
すぐそばで聞こえていたはずの波の音が聞こえなくなり、自分の心臓の音だけが煩い。
カタカタと震える体をどうしていいのかわからず、ただ自分自身で抱きしめた。
そんな事をしても、何をしても去らないこの恐怖をどうにか自分でコントロールしようと大きく息を吐いた。
「波留、大丈夫だよ」
その声を何度も頭の中で思い出していた。
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