さよならの後に

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少し経って先生の顔が赤くなった。 「え……?好きって、その……」 「はい、恋愛感情の好き、です。でも伝えることができただけでもう満足なので。すみません、勝手に好きになって」 混乱している先生は言葉が出て来ないようだ。 それは私にとって都合がよかった。 だって、否定の言葉を聞かなくていいから。 「じゃあ、先生、私もう帰りますね。いろいろとありがとうございました。さようなら」 最後に微笑んで先生に背を向けて走った。 そうしないと涙が溢れそうで。 好きな人に最後に見せる顔は笑顔がいい。 少しでも綺麗に映ってたらいいな、なんて思いながら。 よかった、私、卒業生で。 もし、私より先生が先にこの学校を離れることになっていたら、私はいるはずのない先生を探して生活しなきゃいけないところだった。 よかった、私、置いて行くほうで。 きっと、私は耐えられない。 置いていかれたら忘れられない。 もっともっと好きになってしまう。 本当に、よかった。 溢れる涙を袖で拭いながら走った。 「――!」 急に名前を呼ばれて手首を掴まれた。 驚いて振り返るとそこにはもちろん先生の姿。 「何で泣いてんの」 先生は涙を流す私を見て呆れたように笑いながら言った。 「言うだけ言って勝手に帰らないでよ、もう」 「い、嫌です!聞きたくないです!否定の言葉なんて……!」 手を振りほどこうとするけど意外と力が強い。 そういえば運動部の顧問をしてたな、なんて今はどうでもいいことを思い出しながら必死に逃げようとする。
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