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あの人への気持ちを自覚したのはいつだっただろう。
そのことに自分で困惑しながら、それでも自分が間違っているとは思わなかった。
人が人を好きになるのは当たり前で、例えそれが禁断でも同性でも、変わらないのだから。
卒業式が終わって友達に別れを告げた。
これで私の学校生活は幕を閉じる。
次の4月から私は社会人になる。
学校生活を送ったこの12年間、長かったようで短かった。
これといってやり残したことはない。
私はこのまま家に帰って、高校生活もそこで築いた人間関係も過去のものになるのだろう。
だけど、最後に教室に行こうと思ったのは、やはり惜しいと感じてしまったからなのか。
人気のない廊下を歩いて教室へ向かう。
昨日までは何とも思わなかった廊下もこれが最後だと思うと寂しく感じる。
教室のドアは開いていた。
誰もいない教室で自分の席だった椅子に座ってぼーっとしていると足音が聞こえた。
それはだんだん近づいて来るが、気にも留めなかった。
すると足音の主は近くで止まった。
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