ノビスターの呟き

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ノビスターの呟き

『僕の名前は野島聖太(せいた)。幸せの黄色い鼠、というヒッキーの間では有名なサイトがあり、初期の頃からノビスターと名乗って入り浸っていたが、管理者・神川結弦はひきこもり禁止令が発令された日に自殺し、サイトも結弦の死と共に消えてしまった』  その時のニュース記事にネズミの群れが下水道の泥水に溺れて死んでいるイラストが載り、適切な表現ではないとSNSで物議を醸す。 『しかし僕らは神川結弦は自殺ではなく、政府に殺されたと疑っている。黄色い鼠・神川結弦はヒッキーの世界ではカリスマ的な存在であり、人格も能力も含めてヒッキーに夢と希望を与える指導者だった』  映画やドラマで登場するひきこもりは陰鬱で、親に暴力を振るうデブか痩せっぽちであるが、これはマスコミが作ったキャラクターであり、全てのヒッキーが当てはまる訳ではない。  野島聖太(せいた)は対人恐怖症で高校一年の二学期から20歳の現在までひきこもっているが、家族を心から愛し、感謝の気持ちを忘れず、通信教育で勉強に励み、対人恐怖症も克服しようと努力している。  コアな仲間内ではノビスターはカッコいい部類に入り、のび太の優しさを持つスターだと微妙な褒め言葉でイジられた。
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