第二章 『思い出には、目を伏せて』

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「そうだったんだ、おかえりなさい」 「ただいま」  私服の環菜先輩、今まで一度も見たことのない姿。 「環菜先輩、今からどこか行くんですか」 「うん、ちょっとスーパーまで買い物に」 「じゃ、俺も一緒に行ってもいいですか」  すぐに出た言葉に、環菜先輩は戸惑いを見せるが、断りは切れない様子。  俺が歩き出すと、トボトボ後ろからついてくる。 「宿泊訓練、どうだった?」 「それなり楽しくはあったんですけど、早く帰りたいなーって思ってました」 「そうなんだ」 「環菜先輩にも会いたいなって、思ってて」 「え? ……あ、ありがと」
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