第二章 『思い出には、目を伏せて』

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「もう少し、一緒にいたいです」 「帰らなきゃ」 「少し、ダメですか」 「……」  沈黙を挟むと、環菜先輩はようやく俺と目を合わせた。 「何するの」 「何って、考えてはなかったんですけど……どこかで話したい」  俺は自転車を持ってくると、先を歩く。  どこか喫茶店か何か、と思って見て行くがなんせ田舎町、小洒落た店はなく、結局通りかかった小さな公園に入るしかなかった。  園内では、数人の子供達が鬼ごっこをしており、俺達はベンチに腰掛けると二人でその様子を眺める。
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