第二章 『思い出には、目を伏せて』

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「何か、八重樫に聞いたんでしょ」 「……何を?」 「俺が環菜先輩のこと、前好きだのなんだの」 「あぁ……うん、そうだね。ちょっと」  環菜先輩は、依然居心地悪そうに、自分のつま先に目を落としている。 「あれ、ホントですから」  俺は環菜先輩の前に回り込むと、下から顔を覗き見る。 「中学の時、告白断って、すみませんでした」 「もういいよ、昔のことだし。それに……元々気になる、くらいの気持ちだったし」 「でもあの後から、環菜先輩のこと気になりだしたんですけど、環菜先輩は椎川先輩と付き合い始めたから」 「そうだね」
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