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第三章 『胸を駆け巡る恵風』
~雅環菜~
間一髪の所で私の体重を受け止めた誰かの胸に、私はスッポリ抱き留められてしまった。
顔を上げると、梓君が立っている。
私を小さい、と言った梓君の笑顔が、頭から離れない。
恥ずかしいのに、梓君のことを、目で追ってしまう。
委員の活動は終わったけれど、こうやって誰にも知られぬ気持でも、一人ほのぼの彼を眺めていられたらいいな……。
──ハッと目を覚ますと、そこは自室で、ピチピチ鳥の鳴く声が聞こえる。
朝だ……。
以前も見たことのある夢を見てしまい、私はうーん、と伸びをして起き上がる。
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