11人が本棚に入れています
本棚に追加
『うっさいな。親父の話しは辞めろ。』
『私、知らないからね。またお母さん、学校に呼び出されるような事しないでよね。』
『うっさいっつーの!ともかく出掛けてくるから!お前は自分の心配だけしてろ!』
京子は来春高校受験だ。
それを心配しての発言だったのだが…
俺のキツイ言い方が気に触ったらしい。
『べ!それこそ余計なお世話です!さて、勉強しよ!お兄ちゃんみたいに落ちこぼれたくないし。』
そう言って舌を出し、再び部屋に戻って行く。
生意気な奴め…昔は可愛かったのに。
そんなやり取りをし、俺はすぐに指定された店に向かった。
20分程で店に辿り着くと、電話をしてきた同級生…滝口が、店の外で俺を待っていた。
『あ!平野!やっと来た!』
俺の姿を見つけると、そう慌てて声を掛けてくる。
『どんな様子?』
『それが!もう負けが10万越えてて!』
『はぁ!?この短時間で3万上乗せって、どんな賭け方してんだよ!?』
言いながら店の様子を覗いてみると、1台のテーブルを4人で囲んで玉を撞いている。
俺の仲間…原田と神永は、既に青い顔だ。
ただでさえ下手なのに、負けている金額の多さに手が縮こまっているように見える。
最初のコメントを投稿しよう!