第八章 すれ違い

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 適当にベンチに腰掛け、バッグからノートを取り出したところで、 「あれ? ナッチじゃね」  と聞きなれた声。 「剛ちゃん…!?」  お互い驚きの表情で顔を見合わせる。 「ナッチ、どうしてここに? 外せない用事があったんじゃ?」 「えーと、その。ソフト部に知り合いが居て……。その子にスコア付けるのを頼まれたというか、何というか…」  と焦りながら誤魔化す。  「ところで、剛ちゃんは? 由美たちとライブ大会見に行くんじゃんなかった?」 「ライブ大会ね。あれ、4人で行くなら良いけど、3人じゃな。どうやっても、2対1に なっちゃうだろ。そんで、その1の方、俺だもん」 「はぁ? どゆこと?」 「いや、俺がお邪魔虫になっちゃうからさ、ライブ大会には岳と由美ちゃんだけで行って 貰うことにした」 「お邪魔虫って…。剛ちゃん、気にしすぎだよ。でも、よく由美がOKしたね」 「だから、集合時間の直前に、急用が出来たってウソの連絡した」 「なにもそこまで…。それに由美たち、そんな関係じゃないと思うけどなぁ」 「いいんだよ。その方が、岳たちにとっては」  どうして男子って、なんでも色恋に結び付けたがるんだろ。  といっても、今更どうしようもないけど……。
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