第七章 異変

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 オバケ鏡の前で待っていると、果たして茉菜が現れた。  もう二度と会えないのではないかと思っていたので、茉菜と私は抱き合って再会を喜び 合った。  再会の抱擁のあとで、茉菜が「中を覗いてみて」とオバケ鏡を指さした。  促されるままに、オバケ鏡に頭を入れると暗闇の空間だった。数メートル程先に暗闇が 四角く切り取られた場所があり、その先に向こう側の世界が映っている。 「ここを飛んだの?」振り返って茉菜に尋ねると、 「ううん。トンネルになってるの」と答えた。  試みに暗闇の上下左右を触ってみると、確かに床や壁のように固い部分がある。  オバケ鏡ならぬオバケトンネルだ。  オバケトンネルの中は、真っ暗という点を除けば、いたって快適だ。  暑くも寒くもないし、呼吸もできる。おまけに、オバケトンネルの中では時間が進まぬ らしい。茉菜の言うのに、一種の精神世界なのではないかとのこと。
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