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A「推理小説、読む?」
B「え?」
A「電車来ないし」
B「ええと、本、貸してくれるの?」
A「注文殺到の話題作だから面白いって、司書の先生言ってた」
旅行先、知らない田舎町での突然の雨。
B「傘、ありがとう、助かったよ。何読んでるの?恋愛小説?」
A「ううん、お料理の本」
B「好きなんだ、料理」
A「うん。自分のお店を開くのがね、夢」
B「そう、素敵だね」
列車の来る気配はない。なので利用客もいない。
でも夢中になって本を読んでいる少女に、色々話しかけるのははばかられた。
A「推理小説、読む?」
B「大学では漫画ばかり読んでるからなあ」
A「漫画より小説の方が良い。より頭が活性化しておいしくなる」
ゆらりと少女は立ち上がり、俺は眩暈に襲われる。
道に迷った時、辺りに電柱は立っていたか。
本当にここは駅だったか。
A「だから読書は大事。ここは注文の多い料理店」
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