69人が本棚に入れています
本棚に追加
第15話 転生の資格
何も見えない。
触れるものもない。
そんな中で意識を取り戻した。
この状況、橋に居た時と似てはいるが別物だ。
今は目も、耳も、手足も無くなっているらしい。
これは既に経験したものだ。
「お久しぶりです。イバラキはどうでしたか?」
どこからともなく声が聞こえてきた。
やはり前と同じく、意思を直接伝えられたような気がする。
「オレは、また死んだのか?」
自分の状況を振り替えると、そうとしか思えない。
あれだけの滞空時間だから、よほどの高さに違いない。
生きてる方が不思議なくらいだろう。
「正確に言うと私の傍に呼び寄せた、となるのですが。まぁ解釈はご自由にどうぞ」
半ば投げやりな返答が返ってきた。
こいつが曲者気質であることを、今更ながらに思い出した。
「呼び寄せたってことは、何か用でもあるのか?」
「ええ、もちろん重要なお話が。決してお茶の相手などではありません。そこまであなたを気に入ってませんし」
「悪かったな。オレもお前と雑談をする気にはなんねぇよ」
いちいち挟まれる無駄口が腹立つ。
バシッと端的に話せないもんかよ。
「お話と言うのは、転生についてです」
「今さらなんだよ。わざわざ呼び寄せてまでする話なのか」
最初のコメントを投稿しよう!