69人が本棚に入れています
本棚に追加
第12話 アヤメの想い
「今日はありがとうね。色々とさ」
デートとすら呼べなくなった、残念イベント後の事。
今はアヤメお手製の晩御飯を愉しんでいる所だ。
妙に元気の無いアヤメがポツリと漏らす。
その落ち込みように心当たりの無いオレは、予想外な感謝をされて戸惑ってしまう。
「ありがとうって……何の話?」
「スミレちゃんのワガママに付き合ってくれたでしょ? あの子は変に頑固だから、あんな風に譲ってくれて助かったんだ」
そんな風に思ってたのか、意外だな。
こっちは譲ったと言うより、付け入る隙が無かっただけなんだが。
好意的に捉えてくれてるようだから訂正はしないけど。
「それから、あの女の子。見ず知らずの子だけど、あんなに泣いてたら可哀想だもんね」
「はいはい、あの話ね。あれは流れで相手しただけだぞ」
「でもちゃんと対応してくれたじゃない。ほったらかしにも出来たのに、しなかった。それがなんだか嬉しくってね」
おやおや?
これは予想外にも好感度アップですか?
早くも諦めモードだったけど、これはもしかするかも。
「あの女の子、親御さんのところに帰れて良かったね」
「そうだな。凄く良い笑顔だったもんな」
最初のコメントを投稿しよう!