第12話  アヤメの想い

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第12話  アヤメの想い

「今日はありがとうね。色々とさ」 デートとすら呼べなくなった、残念イベント後の事。 今はアヤメお手製の晩御飯を愉しんでいる所だ。 妙に元気の無いアヤメがポツリと漏らす。 その落ち込みように心当たりの無いオレは、予想外な感謝をされて戸惑ってしまう。 「ありがとうって……何の話?」 「スミレちゃんのワガママに付き合ってくれたでしょ? あの子は変に頑固だから、あんな風に譲ってくれて助かったんだ」 そんな風に思ってたのか、意外だな。 こっちは譲ったと言うより、付け入る隙が無かっただけなんだが。 好意的に捉えてくれてるようだから訂正はしないけど。 「それから、あの女の子。見ず知らずの子だけど、あんなに泣いてたら可哀想だもんね」 「はいはい、あの話ね。あれは流れで相手しただけだぞ」 「でもちゃんと対応してくれたじゃない。ほったらかしにも出来たのに、しなかった。それがなんだか嬉しくってね」 おやおや? これは予想外にも好感度アップですか? 早くも諦めモードだったけど、これはもしかするかも。 「あの女の子、親御さんのところに帰れて良かったね」 「そうだな。凄く良い笑顔だったもんな」     
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