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第13話 魔術の威力
「次はーフジシロー、フジシロです」
ボックス席に3人座りながら、電車で移動している。
次がイバラキ最後の駅になるらしい。
そこからどうすべきかは、現地で考えるしかない。
「アヤメちゃん、チョコいります?」
「ありがとうー。お返しにグミあげるね」
目の前にはチョコだのポップコーンだのジュースだの、数々の嗜好品が所狭しと並んでいる。
小旅行かよ。
これからすべき事は理解してる?
「どうかしましたか、虫さん。そんな目をして。あなたもチョコがほしいんですか? さらには私の手から直接? 発情期ですね」
「勝手に盛り上がんな。これは単なる遠出じゃないって言いたいんだよ」
「もちろんわかってます。魔術の境界を突破するんですよね」
なぜコイツはこんなにも理解できているのか。
イバラキには外界の情報が届かないはずだ。
だから転生者以外は、県外の事を知る術が無い。
オレが聞いてないだけで、スミレも転生者なんだろうか。
「私の魔術にかかれば、大抵の事はわかります。例えば妨害突破(プロテクト・ブレイク)ですね」
いきなりブラインドタッチの真似事を始めたぞ。
その動きで不思議な現象が起きたりはしない。
どうやらただのフリのようだ。
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