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「じゃあ言ってみろ。どんな理由なんだ?」
「イバラキは当時の将軍を排出する『御三家』と呼ばれていた事を知ってますか?」
「ええと、歴史で習ったわ。紀伊、尾張、そして水戸よね?」
「そうです。その水戸藩がかつてのイバラキに相当します」
「んで、その御三家がどうしたよ?」
スミレが一度言葉を切った。
自然とオレたちの耳目が集められる。
「水戸藩からは、ただの1人も将軍が出ていない」
「マジかよ……?」
「それって、つまり?」
「恐らくこの頃からでしょう、イバラキが日本から異世界化や概念化したのは。存在しない國からは人なんか出せませんから」
確かめる術が無い以上、言ったもの勝ちな面はある。
それでも今の話は一定の説得力があった。
「それで、何が言いたいんだ?」
「この事件は根が深いということです。ものの数年の出来事であったなら、取るに足らない魔術かもしれません。ですが……」
「江戸時代から続いてるなら、数百年もの間破られなかった実績がある」
「そうです。相手の強大さが別物になるでしょう」
ゾワリと寒気がした。
気楽に考えていたのはオレの方かもしれない。
現場に行けばなんとかなる、と思っていたくらいだ。
果たして、その程度の計画で突破できるほど生易しい相手なのか。
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