第13話  魔術の威力

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「じゃあ言ってみろ。どんな理由なんだ?」 「イバラキは当時の将軍を排出する『御三家』と呼ばれていた事を知ってますか?」 「ええと、歴史で習ったわ。紀伊、尾張、そして水戸よね?」 「そうです。その水戸藩がかつてのイバラキに相当します」 「んで、その御三家がどうしたよ?」 スミレが一度言葉を切った。 自然とオレたちの耳目が集められる。 「水戸藩からは、ただの1人も将軍が出ていない」 「マジかよ……?」 「それって、つまり?」 「恐らくこの頃からでしょう、イバラキが日本から異世界化や概念化したのは。存在しない國からは人なんか出せませんから」 確かめる術が無い以上、言ったもの勝ちな面はある。 それでも今の話は一定の説得力があった。 「それで、何が言いたいんだ?」 「この事件は根が深いということです。ものの数年の出来事であったなら、取るに足らない魔術かもしれません。ですが……」 「江戸時代から続いてるなら、数百年もの間破られなかった実績がある」 「そうです。相手の強大さが別物になるでしょう」 ゾワリと寒気がした。 気楽に考えていたのはオレの方かもしれない。 現場に行けばなんとかなる、と思っていたくらいだ。 果たして、その程度の計画で突破できるほど生易しい相手なのか。     
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