第14話  渡河作戦

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バスもタクシーもダメとなると、徒歩で行くしかない。 幸い橋までは遠くないので、距離に問題はない。 その橋を無事に渡りきれるかはわからないが。 「ここで話してても仕方ない。まずは向かってみよう」 「そうだね、他に手段もないもんね」 緊張のためか、不安のせいか、口数がみるみる減っていく。 オレは元気づけるように話題を振り撒いていった。 「アヤメは向こうに行ったら、最初になにがしたい?」 「やっぱり、実家にもどりたいなぁ。今の私じゃ気づいてもらえないだろうけど」 「どうして?」 「転生前と今とじゃ、見た目が全然違うから」 「ええッ? そうなの?」 転生すると容姿が変わるのか? 初耳だぞ。 「ダイチくんだってそうでしょ。違うの?」 「オレは全く変わってないぞ。せいぜい髪が伸びたくらいだ」 「そうなんだ。他のケースなんて知らないけど、もしかして私の方が珍しいのかな?」 「わからん。けど見た目が変えられるなら、オレは一新したかったよ。頭から爪先までみっちりとな」 「えー? ダイチくん、別に外見悪くないじゃん。気に入ってないの?」 その言葉は嬉しいが、質問の答えはイエスだ。 没個性な顔立ち、高くも低くもない背丈、日に焼けない青白い肌、胴と比べて妙に短い足。 コンプレックスてんこ盛りだ。     
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