第14話  渡河作戦

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「そう。気がついたら家の前に居たんだ……。ごめんね、参考にならなくて」 「いやいや、そんな事無いぞ!」 「そうですよ。情報量ゼロの虫さんと違って、とても有益な話でしたよ」 スミレのちょいイラ発言はさておき、確かに聞くべき点はいくつかあった。 霧が出る事。 記憶が抜け落ちる事。 家に戻らされる事。 危険なワナや敵性生物が待ち受けていない事。 今の会話でこれだけの情報が手に入ったのだから、大収穫だったと言える。 「橋に……着いたわね」 「霧がもう出てますよ。向こう岸が見えません」 なんだか妙じゃないか? アスファルトがまるで、宙に浮いているだけのように見える。 何と言うか、こちら側の土地を上部だけ引き伸ばしたような。 まぁ、川の流れる音が足元の方から聞こえるんだ。 濃霧のせいで細部までは見えないが、これは橋に間違いないのだろう。 「はぐれないように、手を繋いで行かないか?」 「こんな時ですら女の肌に触れていたい、と。虫さんは途方もない変態さんですね」 「スミレちゃん、これは魔術対策だよ。そうでしょ?」 「まぁ、全然気づきませんでした!」 芝居が白々しい。 お前は1度『ほぅ』という顔をしてただろ。 オーバーリアクションで迎え撃つのやめろ。     
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