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彼らのことすら忘れてしまうなんて、本当に平静を欠いている。
栞は大げさに深呼吸してから、2人に連絡した。
今度サラベナに行けることになったので、できることはないか。
持っていってほしいものとか、渡したいとか。
だが2人とも首を振った。
「恋人に会いに行くのでしょう。わたしのことはいいから楽しんでいらっしゃい」
ダムレィも同じようなことを言った。
栞は2人に自分の恋人が誰なのか、伝えるときが早く来ればいいと思った。
最後に何度もしたパスポートの期限を再度確認し、夏枝に連絡した。
「準備できました」
「あなたの心の準備も、出来た?」
夏枝はそんなことを聞いてきた。
心の準備。
忘れてた。
「なにをしたらいいんでしょう。わたしはカイトに会うこと以外何も考えていません」
電話の向こうで夏枝は大笑いした。
「よろしい。準備万端だね」
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