第25章

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彼らのことすら忘れてしまうなんて、本当に平静を欠いている。 栞は大げさに深呼吸してから、2人に連絡した。 今度サラベナに行けることになったので、できることはないか。 持っていってほしいものとか、渡したいとか。 だが2人とも首を振った。 「恋人に会いに行くのでしょう。わたしのことはいいから楽しんでいらっしゃい」 ダムレィも同じようなことを言った。 栞は2人に自分の恋人が誰なのか、伝えるときが早く来ればいいと思った。 最後に何度もしたパスポートの期限を再度確認し、夏枝に連絡した。 「準備できました」 「あなたの心の準備も、出来た?」 夏枝はそんなことを聞いてきた。 心の準備。 忘れてた。 「なにをしたらいいんでしょう。わたしはカイトに会うこと以外何も考えていません」 電話の向こうで夏枝は大笑いした。 「よろしい。準備万端だね」     
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