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きっと夏枝も、カイトが日本にいた間中、こんな風に飛行機に乗って、カイトのために飛び回っていたに違いない。
そんなことを考えていると、窓の外はじきに白い光であふれ、澄んだ青い空が現れた。
バンコクに着き、空港の外に出る。
数時間ぶりに地面を歩く安心感。
同時に、エステラのニュースを探す。
日本より人気の高いタイの方が、情報がたくさんあるのではないかと思ったが、どうやらエステラ失踪事件自体、ニュースとして既に旬を過ぎているようで、どこのネットニュースでもテレビでも新聞でも雑誌でも取り上げているメディアはないようだった。
人のことを心配している場合ではないとは思うが、気にかけずにはいられない。
そんな風に街中でニュースを漁っている時。
ふいにエステラの歌が聞こえてくる。
思わずその歌の方を振り向く。
どこかの店頭で鳴らしているだろうか。
目に入るのは、バンコクの街並みと行かう人。
バイクと車の列。
ここは日本じゃない。
不意に実感して、奇妙な感じに囚われる。
建物とか、看板、空気。
色が違うんだろうか。
それとも温度、湿度。
きっと、なにもかも。
汗をぬぐって再び栞は前を向いた。
音を立ててカートを引きながら、東南アジアの風景に馴染みすぎる理恵子のバックパックを追いかけた。
栞と理恵子は喬久の用意したホテルに着いた。
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