第25章

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「王様の用意したホテルっていうんだから、もうちょっとゴージャスなところを想像していたのに」 理恵子の素直な文句に、栞もちょっと同意した。 そこは高級リゾートホテルではなく、簡素なエコノミーホテルだった。 「空港の近くであることを優先したのでしょう。リゾートホテルはたいてい海岸沿いで、ここからはだいぶ離れていますから」 チェックインしてみると、壁もシーツも白で統一されていて、とても素敵だった。 たまに出張で泊る日本のビジネスホテルより、設備は新しくモダンなインテリア。 栞は思わずスマートフォンで写真を撮っていると、理恵子が何気なく声を掛けた。 「ところで栞、明日その服で会いに行くの?」 そういえば、Tシャツとコットンのパンツしか持ってきていない。 長時間の移動だから、足元は当然スニーカーだし、メイク道具も色がつくものというより肌を守るものばかりで、しかも最小限しかない。 久しぶりにカイトに会うのに。 慌てる栞を、理恵子は笑った。 「大丈夫、栞。前よりずっと目が輝いていて、すごくきれいになった。メイクなんてしなくても大丈夫だよ」 そう言われて鏡の前に座る。 少し日に焼けて、頬にそばかすが目立つ。 そして目は早くカイトを捉えたくて、その思いで一杯で。 「目、血ばしってますね」     
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