第25章

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着陸後に目を覚ました理恵子を機内に残してタラップに立つ。 日は傾いているが、なんの障害物もなくまっすぐ照り付ける強烈な日差し。 乾いた風に甘い花の香りが混じる。 乱れる髪を抑えながら、周りを見渡す。 先程離陸した場所とは違い、よく整備されたちゃんとした空港のようだっだ。 タラップの先には真っ赤なじゅうたん。 その先には白い車の列が見える。 その前に黒い服を着た人が十数名。 男性も、女性も。 彼らはある人を囲むように円を描いて立っている。 その中心には、白い民族衣装を着たカイトが待っていた。 腕を背に回して、まぶしそうに目を細めて。 風を手でよけながら、栞はタラップを一段一段降りていった。 白いシャツの裾が風ではためき、お腹に風が直接当たる。 最後の一段を降りる。 それから、1歩、2歩、3歩。 目の前にカイトがいる。 栞はカイトを見上げる。 何か言おうと、息を吸った。 けど、声にならず息が詰まった。 「栞」 カイトが優しくささやいた。 「栞、よく来たね」 うるんだ瞳にまつ毛が濃く影を落とす。 頬がこけ、肌がはりを失っている。 口元には、険しいしわが刻まれている。 なにより、いつも自分に向かってまっすぐに差し出された腕は、後ろに回されたまま。 栞は一度息を吐き、再び息を吸った。     
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