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1章
「先輩。聞いてくださいよ。今回、例の教授引率での一回生だけの課外学習。行き先がニサンザイ古墳なんですよ」
左側の頬を考古学研究会の部室にある机にぺたりとつけ、そのまま向かい側に座っている先輩を見上げると先輩は苦笑いをする。
「ニサンザイ古墳っていうと、南海電鉄の中百舌鳥駅にあるやつだよな」
「そうです。三国ヶ丘駅に大仙古墳陵があるし、そっちのほう行けばいいのに。そっちのほうが有名だし。中百舌鳥駅と二駅しか変わらないし。先輩もそう思いません?」
「まぁ、小林がそういう気持ちは分かる。分かるけど、俺らもそのコースだったぞ。俺は結構行ってよかったと思った。騙されたと思って行ってみろ」
「えぇー、本当ですか?」
私にはニサンザイ古墳に行くことがいいとは思えない。だって聞いたことないところだし。どうせなら有名なところに行くべきだろう。でも、先輩が言うぐらいだからいいところもあるんだろうなぁ。たぶん。
「分かりました。騙されたと思って行ってみます」
「おぉ、行ってこい」
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