1章

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「教授」 私は一回生の集団から抜け出して、一人電車の窓から外を眺めている教授に話しかけた。 「先ほど教授が言っていた意味が少しわかりました」 「そうか。それはよかった。じゃあ、今回もおおむね目的達成できたな」 「目的?」 「あぁ。歴史を物を見るだけで想像できるようになってほしいというのが今回の目的だからな。そのために二サンザイ古墳は最適なんだ。ぱっと見で視界に収まるほどの島。想像力を高めるには最適だろう?」 「そうですね」 インターネットで調べてもニサンザイ古墳に関して新しい古墳だということしか分からなかった。でも、だからこそ自由に想像することが出来るということもあるのかもしれない。 「来年もこれで決定だな」 教授は満足気にそう呟くと、またぼんやりと車窓に映る景色を眺めはじめた。
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