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その赤松一門に、岡部という者が居た。
新参者でありながら、文武両道のつわもの、器量骨柄、芸能才覚の優れた者であったので、播磨国の守護代を任されていた。
守護代になったばかりの岡部を目にした者なら、皆一度は羨望の思いを胸にしたことだろう。
評判の美女を娶ったばかりの彼こそが、輝くばかりの美丈夫であった。
体つきも立派で、知恵もまわる。主からの信頼は厚く、家が富貴であることは言うまでもなかった。
しかし岡部には、望んでも得られぬものがあった。
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