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ともなれば、どちらの図書室に人気が集中するのかは言うまでもない。今のように暑い時期になると、旧図書室の利用者はほぼいなくなってしまうほどだ。
でも、わたしは旧図書室が好きだ。外国の国立図書館を思わせる気品が漂う室内や、見上げると吹き抜けの三階天井までぎっしりと本が詰まったスケール感も、高い天井も、紙、インクだけでなく、建物そのものが放つ古い木の匂いも。どれもこれもが気に入っていた。
特に今日のような雨の日は素晴らしい。何故なら、ほぼ間違いなく誰もいないのだ。わたしは雨で湿った空気を吸い込み、深呼吸をした。背筋をピンと伸ばし、観音開きの扉の片方を引く。木がこすれる音とともに、見慣れた景色が広がった。
「誰も……いないな。よし」
わたしはまるで、これから旅に出かける物語の登場人物のような足取りで、お気に入りの空間に踏み出した。
しかし――。運命の神様は悪戯好きである。その日、有り得ないことに、わたしの宝島、オアシス、秘密基地、聖域、天国は――予想外な招かざる客によって――否、憎き異星人の侵略によって、蹂躙されてしまうのだった。
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