第1章 咲かない花

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第1章 咲かない花

けたたましく鳴り響く目覚まし時計の音が朝を告げる。 カーテンから降り注ぐ木漏れ日とは裏腹に、僕の心まで清々しい朝とはいかなかった。 心臓がドクンと高鳴るのが分かる。23歳の僕であるから、(もちろん医者ではない僕が断定することはできないが)それが病気によるものではないと判断する。 出勤初日の朝だ。社会人としては昨日の本社への出勤が第1歩なのだが、それは今日とは別物だろう。 新天地でのスタートに期待で胸がいっぱいの人も多くいることだろう。しかし僕はそういった人種ではないとここで声高らかに言う。 保育所から小学校、小学校から中学校、高校、大学…と環境の変化の度に億劫になってしまう性分だ。
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