第一章 1話 『那波屋 耀のスタート』

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第一章 1話 『那波屋 耀のスタート』

一体どのくらいの時間が経ったのだろうか。 意識が飛んでからしばらくたったその時、耀は意識を取り戻した。まだ頭の中が混乱しているからか視界も悪く、自分がフラフラしているのもわかる。 目の前のピントが合ってきたようだ。 ・・・・・・誰だこの人達。 意識が戻って最初の感想はそれだ。 夢でもみていると思ったのか、耀は両目を擦ってもう1度目の前の様子を確認する。 「どこだここ!」 それが彼がこの世界にやってきての第一声だった。 ・・・・・・待てよ、俺は確かゲームしてて、クリアしてそのまま寝ただけだよな?いや、待てよ。確かその時光に包まれて、そっからの記憶が何もない。 ブツブツと考えていた時彼の耳にある声が聞こえる。 『耀、聞こえますか?』 彼はその声にびっくりしたのか辺りをキョロキョロと見回す。 『安心して下さい。この声は貴方にしか聞こえていませんので。』 ・・・・・・安心出来るわけないだろ。てか、あんた誰なんだよ。 『私は女神シャウルと言います。あなたはこの世界で平和を乱す魔王の復活が確認されて、それを倒す勇者の一人として認められました。あなたは今からこの先にあるギルドセンターへと向かい、冒険者としての登録をして下さい。私からあなたに言えるのはこんなところでしょうか。あと、ついでにコミュニケーション能力値をオマケで増やしておきました。この世界でふれあいはとても大切になってくるのできっと役に立つでしょう。また会いましょう。あなたが歩んでいくその道のどこかで…………。』 「おい待て!その説明だけで俺にどうしろってんだよ。いきなり冒険者になれって言われてもよくわからねぇよ。」 そこまで怒鳴って周りを見るとこちらを見て警戒してる冒険者がチラホラいた。 ・・・・・・このままじゃ、ダメ……なのか? 彼は頭を掻いた後、両頬を力強く叩いて気合いを入れた。 「つまりこのままウジウジしてたって何も始まらないってことだろ?それならば進む以外に俺の選択肢はねぇ。ここから俺の冒険が始まる。俺の道は俺が決める。さぁ行こう未知なる世界へと!」
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