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第一章 4話 『草原の長』
スライムとの戦闘を無事に終えた耀はイザースの村へと向けて着々と進んでいた。地図を見たところ目印は無いためどの辺かわからないが、目の前に橋があるので渡ればすぐそこだとわかる。橋を渡りそのまま北西に歩いていたら、何やら声が聞こえてきた。
「ヒェーーー!」
・・・・・・ッ? 声の方を見てみると一人の若い少年がオークのような生き物と戦闘しているのが目に入った。体格的にも差があり彼は攻撃を防ぐので精一杯に見えた。多分このままでは彼はやられてしまうだろう。
耀は槍を構えオークの方へ全力で駆け寄る。その冒険者はこちらに気づいたようで、オークの隙を見てパッと離れた。オークは今になって耀の接近に気づいたようで、呆気にとられているように見える。
耀の槍がオークの心臓部を貫き緑色に近い液体が背中から飛び散るのが見える。耀が槍を抜き取って後ろを向いたその時、オークは最後の力を振り絞って棍棒を拾い上げ耀に殴り掛かる。
しかし、隣にいた若い少年が素早く剣を振り抜きオークの腕は吹き飛び、そのままオークは倒れて完全に動かなくなった。
「悪い、油断してしまった。」
「いやいや、助けてもらったからにはこちらも助け返さねばと思っただけだよ。ところでそっちもソロでの冒険なのかい?」
「ああ、それで今イザースの村へ向かっていたところだ。」
彼は目を閉じて少し考えこんで、再び目を開いた。
「唐突なんだけど、パーティー組んで貰えないか? 仲間がいなくて困っていたところなんだけど。」
俺は二つ返事で了承した。
「よろしく俺の名前はサーティ、そっちは?」
「俺は耀だ。よろしく。」
二人は握手しあってイザース村へと歩き出した。
・・・・・・今更だけど、俺ってこの異世界でも普通に言葉伝わるんだな。
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