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「雨か・・・・」 高校三年生、夏休みも終わりもうすぐで秋の到来 窓際の席なので授業中はずっと外を見ている 遠くに走っている車 一定の速さで動き続ける黒い雲 僕にとっては最高の席だった 「おい!春樹!カラオケ行こうぜ!!始業式終わったし!」 「えーカラオケかぁー」 カラオケにはあまり行きたくない 理由は単純に『音痴』だからだ 歌ったら周りに笑われ、面白いといわれ いやになってくる 「今日は少し予定あるからパスで!ごめんな!!」 「あーわかった!また今度誘うわ!」 「じゃな!春樹!」 「おう!また明日」 歌うまくなりたいけどそんな機会ないよな 歌はほぼ全ジャンル聞くように心がけている ジャズからロックまで何でも聴いている 毎日ほぼ違う曲を聴いて登校、下校を繰り返している 飽き性なのかわからないが、とにかく何回か曲を聴いてしまうと だんだん飽きて違う曲へなんてことは多々ある そして今日はピアノ系の曲を聴きながら帰るとする 席を立ち廊下に出る すると、突然右から誰かがぶつかって来た 鈍い音と、ともに何か紙がぱさぱさと、落ちる音がした 「あ、すいません!!何か水で滑ってしまって!」 「い、いえ!こちらこそすいません!」 廊下の窓を見てみるとひとつだけ窓が開いていて下の床は雨でびしょびしょだった すぐに立ち上がり窓を勢いよく閉めた ピシャの音と同時に周りの音は雨音が地面をたたきつける音だけになった 周りに人は僕とこの子だけになっていた ぶつかってきた子をよく見てみると何か紙を拾っているようだった 「大丈夫ですか?」 そういいながら紙を一枚一枚拾い上げた 「大丈夫です!楽譜まで拾わなくていいですよ」 楽譜? J.S.バッハ:G線上のアリア - 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 今 ちょうど聞いてる曲だった 「あ、この曲今聞いてます!」 「え!本当ですか!私もこの曲好きです!周りにバッハ好きがいてびっくりです!!」 「いや、すきとかじゃなくて、ただ聞いてたんです」 「そうなんですか!すいません一人で舞い上がっちゃって」 「大丈夫ですよ」
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