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「カラオケか・・・」 今日は季節はずれの猛暑日今日はそうテレビで言っていた 体調も崩しやすい季節 昨日ある女の子に駅に来いといわれたがまだこないのか しかも連絡先も何も交換していないし 駅前といわれても、南口か東口どちらかわからない まぁ駅前カラオケときたら南口か 先が思いやられる 「あ!いたいた!こっちだよ!」 声の先には雨魅が手を振っていた その後ろには行きつけのカラオケ店があった 「さ、入ろ!、入ろ!」 ぐいぐい押され無理やりカラオケ店の中に誘い込まれてしまった 「いつも歌ってる曲を入れてみて!何でもいいよ!」 「あ、うん」 鼓動の速さは確実にマラソン大会で完走した後よりも速くなっている 何の曲を歌えばいいんだ 歌っても音痴だから笑われるかな、てか、何がしたいんだ!いきなりカラオケなんて なんかむかついてきた もうどうでもいいや 入れた曲はカラオケに来た人なら一度は聴いたことがある「さくら」 歌っている最中は極力メロディーに集中して目を瞑り歌った このカラオケには自分ひとりしかいない そう言い聞かせながら歌い続けた ただ無心で歌った 何も感じずに すると、鼓動はだんだんゆっくりゆっくり静かになっていき、歌が終わるころには平常心に戻っていった 歌い終えると パチパチパチと乾いた小さい音が鳴り始めた 「すごいじゃん!最後のサビ!結構高い音なのに出てた!」 「え?そうだった?」 無心で歌っていた自分は何も考えてなかったのでわからなかった 「すごいよ!才能あるよ!練習しよ!」 今思うと人生で歌に関して最初に褒めてくれたのは雨魅だったのかもしれない 「春樹の将来の夢は何?」 数秒の間が空いた 答えたくない でも、雨魅になら 「歌手になりたいんだ、自分で作曲して、作詞して、自分を聞いてほしいんだ」 雨魅は迷いもせずすぐにこういった 「春樹は絶対になれるよ!」
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