プロローグ

5/27
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
巧のお父さん。 ご近所さんであり、私が小さい頃、巧とよく遊んでいた頃からすごく可愛がってくれて、私も大好きな優しいおじさん。親同士が仲のいい事から、今でも家族ぐるみでお付き合いをしている。 巧は、本をぽんぽんと叩き、不敵な笑みを浮かべたまましゃべり続ける。 「そう。しかも大のお気に入りの。・・・どうしようかなー、まさか本が壊されたって言ったらがっかりするだろうなあー」 「ちょ、ちょっと、待って! やめてよ!!」 「しかもその犯人が真琴だって知ったらどうするだろうなぁー」 「お、お願い!!言わないで!! お願い!!」 嫌だ。すごくお世話になっているおじさんを失望させたくない。 しかも私は昔から、巧のご両親には「素直で・明るくて・いい子の真琴ちゃん」で通っているのだ。 おじさんの中の、その私の良いイメージも絶対壊したくない!! 泣きそうになった私の顔を見て、巧は悪魔のようにニヤリと笑った。 「じゃあこの本、俺が落として壊した事にしてやるよ」 「え!? い、いいの!? ・・・あ、ありが・・」 「ただし!!! 真琴、今度こそ入部してもらうからな」  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!