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学校が終わって、本屋に寄って ――。
いっけね、もうこんな時間だ。
早く帰らないと”西部警察”の再放送に
間に合わん!
あ、そうだ!
クリーニング屋さんにも寄らなきゃ……。
本屋の袋を下げてクリーニング屋さんへの道を
急いでいた私は、
「重そうやね、ひとつ持ってあげる」
って、声をかけられ、その声の方を見ると
アロハシャツに金のネックレス……いかにもって
感じの男性がいつの間にか、隣に並んで歩いていた
「あっ、あなたは……」
もう、どこから見たってヤクザな人だけど、
そう悪い人ではない。
幼なじみ・三上あつしの又従兄弟の
確か……西島さん、だっけ?
去年の文化祭にあつしと来た時一緒に食事を
した事がある。
西島さんは”ひとつ持ってあげる”って、
言ったけど、結局は私の持っている荷物を全部
持ってくれた。
「あ、ありがと……」
「いえいえ、どういたしまして ―― 行き先は
自宅?」
「は、はい ―― あ、その前にクリーニング屋へ」
「んじゃ、それが全部済んだらちょっと俺に付き合って
もらいたいんやけど、ええかな?」
「えぇ、いいですよ」
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