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そんな私達が少し人通りの寂しいエリアに
差しかかった時、後部座席の車窓を遮光シートで
覆った1台のバンが行く手を阻むよう急停止した。
「!! あっぶねぇなっ。何処見て運転してんだよっ」
ガコンッ!!
短気な西島さんが、バンの車体を思い切り
蹴っ飛ばした。
すると、そのバンの助手席と後部席のドアが同時に
開いて、どう見てもヤクザな男達が降り立ち、
後部席に残っていた仲間が私の腕をいきなり
掴んで、強引に車内へ引きずり込もうとする。
それを見て、逆上した西島さんが私を取り返そうと
暴れ出す。
「てめぇら、何処の組のもんじゃ?!」
多勢に無勢じゃ、有段者の西島さんでも歯が
立たず、袋叩きでボコボコされた挙句、
改造スタンガンで市販の物の数倍の
電気ショックを与えられ、おまけに手刀で
後頭部を強打されてその場に倒れた。
「西島さんっ!!」
「さぁ~て、仔猫ちゃんにも少し眠っていてもらい
ますよー」
背後に回り込んでいた男にハンドタオルで
口と鼻を塞がれた途端、
ツーンとした甘い匂いが鼻腔を突き抜けた。
ソレを認識した時には既に手遅れで。
頭の中が朦朧として来て、意識が急速に薄れ、
体の力も抜けて、目の前が真っ暗になった。
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