[きぬ] こんがり

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「アラ! コンガリ焼ケタネ! タヌキサン、キツネ色ネ」  綿貫の事をタヌキ呼ばわりできるのはスーラジ君くらいだよ。しかし、タヌキもキツネも腹黒く聞こえるのはなんでだろう。  今夜の差し入れはちょっと豪華で、豆のカレーと残り物だというスペアリブをご馳走になった。さすがエスニック料理専門店、の食べ応え。  ありがとうスーラジ君! ありがとう料理長! 学食が開かない夏休み期間、この夕飯がどれだけ助けになっているか!!  骨付きの肉って、時々妙に食べたくなるんだよ。思わぬ贅沢品に、僕等は浮かれて写真を撮りまくった。 「ボクネ、漢字ノ勉強ハジメマシタ。ワッタヌキサン、名前ノ漢字オシエテクダサイ」 「いとへんに…白に巾。わた。めん。コットン!」 「コットン!! もめんデスネ。  ウレシイ! ボクノ家、木綿ヲ売ル会社デス。木綿大好キデス」  覚エマシタ! 木綿サーン! とスーラジ君は喜んでいるが、少しも綿貫の名前と繋がらない……。 「木綿サン、明日ノゴハン、リクエストハ?」 「あ、明日はね、持ってこなくていいよ、悪いね!」  ……明日、綿貫は何か予定があるのかな?
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