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ケッテは彼の名が知りたかった。
壁には彼が王になってから描かれたであろう肖像画が、未だ全てを確認できていないほど沢山飾ってあるのだが、そのいずれも、彼の名前は記されていない。
「あのご友人は、知っているのかしら」
先日、この大きな城に訪れた客のことだった。
ケッテが此処に来たときは、いきなり城内だったために気が付かなかったが、ハデスの住む城は大きかった。
それはもう、天に届きそうなくらい。
実際、天に届くことはないのだ。
この冥界は異世界。
全国共通で存在する【天】も、この世には存在しない。
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